こんにちは、アクティブレポーターのGOです。
群馬県には草津温泉や伊香保温泉、四万温泉といった全国的にも有名な温泉地が数多くあります。
もちろん、それらの王道スポットも活気があって素晴らしいのですが、30年以上群馬に住んでいる私が「日常の喧騒をリセットしたい」と思った時にハンドルを切るのは、ガイドブックの隅にひっそりと載っているような「穴場温泉」や「秘湯」です。
※草津や四万の王道ルートについては、こちらの記事も参考にしてください:
[草津温泉の歩き方2026]
[四万温泉の魅力]
「秘湯」という言葉には、どこか哀愁と、本物の温泉に出会える予感がありますよね。
有名な観光地のように人でごった返すことがなく、質の良いお湯を独り占めできる贅沢。
今回は、地元民である私が本音でおすすめする、心から癒やされる群馬の静かな名湯を3つご紹介します。
【穴場1】法師温泉|時が止まったような静寂と足元湧出の奇跡
まず一つ目は、温泉好きなら一度は憧れる秘湯中の秘湯、みなかみ町の「法師(ほうし)温泉 長寿館」さんです。
明治8年創業の建物は国登録有形文化財にも指定されており、一歩足を踏み入れると、飴色に磨かれた柱や重厚な造りに、思わず明治時代へタイムスリップしたような錯覚を覚えます。
長寿館の入口外観

玄関を入ると、長寿館の顔とも言える「囲炉裏(いろり)」が迎えてくれます。一年中絶やさず焚かれている薪の香りと、鉄瓶で沸かしたお湯でお茶をいただく時間は、旅の疲れをスッと溶かしてくれます。
囲炉裏:鉄瓶で沸かしたお茶をいただきました

ここに来たら絶対に外せないのが、百年の歴史を誇る名物風呂「法師乃湯」です。
国鉄時代の「フルムーン」ポスターで、上原謙さんと高峰三枝子さんが入浴されていたあの風景……と言えばピンとくる方も多いのではないでしょうか。鹿鳴館風のアーチ窓から差し込む柔らかな光が、湯面に反射する様子は息を呑む美しさです。
最大の魅力は「足元湧出」。浴槽の底に敷き詰められた玉石の間から、ぷくぷくと自然にお湯が湧き出してくるのです。
真ん中に渡された丸木に頭を乗せて、高い天井を見上げながら新鮮な湯に身を委ねる。まさに「時が止まる」という表現がぴったりの、至福のひとときです。
基本は混浴ですが、20:00〜22:00は女性専用時間になります。最初は緊張するかもしれませんが、薄暗い照明と静寂の中で浸かっていると、自分自身が歴史の一部になったような、不思議な一体感を味わえますよ。
法師温泉・長寿館の詳しい様子はこちらの記事が参考になります >> 法師温泉長寿館の宿泊記
【穴場2】霧積温泉|「人間の証明」の舞台、人を寄せ付けない真の秘湯
次にご紹介するのは、安中市の山深く、標高1,100メートルに位置する「霧積(きりづみ)温泉 金湯館」さんです。
ここは私の中で「これぞ究極の秘湯」と呼べる場所です。
驚くべきは、そのアクセスの「不便さ」です。一般車は宿のすぐ近くまで行くことができません。
途中の駐車場に車を停め、そこからは宿の送迎車(要連絡)に揺られるか、山道を30分ほど歩くことになります。
駐車場周辺からすでにスマホの電波は圏外。そんな「下界との繋がりが絶たれる感覚」こそが、秘湯巡りの醍醐味です。
金湯館の送迎車を降りたところ

橋の先が金湯館

金湯館のロビー

勝海舟も宿泊した客室

ここは森村誠一氏のベストセラー小説『人間の証明』の着想の地としても知られています。
「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?」という有名なフレーズ……森村氏が学生時代、ここに宿泊してハイキングに出かけた際の体験が、あの名作を生んだのです。
森村誠一と西条八十

温泉は「ぬる湯」で、加温・加水なしの源泉かけ流し。肌にまとわりつく細かな泡が心地よく、まるで美容液に浸かっているような感覚になります。
※このような「ぬる湯」が体に良い科学的理由は、こちらの記事で詳しく解説しています:[【温泉通が伝授】究極のリカバリー入浴術|ぬる湯の効果]
そして、この宿のもう一つの魅力は「野生との近さ」です。
以前、金湯館に宿泊した翌日の帰り道のことでした。駐車場から国道方面へ向かって車を走らせていると、林道のすぐ脇に野生のニホンカモシカが現れたのです!

車中からカメラを向けても、落ち着いた様子でこちらを見つめるカモシカ。こんなに身近で野生動物の息遣いを感じられたのは、私にとって一生の思い出になるようなラッキーな体験でした。
テレビも映らず、スマホも繋がらない。そんな不便さがここでは「贅沢」に変わります。
霧積温泉・金湯館の詳しい様子はこちらの記事が参考になります >> 【霧積温泉】金湯館の魅力を徹底解説!
【穴場3】湯の小屋温泉 龍洞|18種の貸切風呂を楽しむ「湯巡りテーマパーク」
最後は、みなかみ町からさらに奥地へ向かった藤原地区にある「湯の小屋(ゆのこや)温泉 龍洞(りゅうどう)」です。
ここは「温泉好きのためのテーマパーク」と言っても過言ではない、非常にユニークな宿です。
なんと、敷地内には趣の異なる18種類もの貸切露天風呂があるのです!
しかも、すべて源泉かけ流し。貸切なので、他人の目を一切気にすることなく、夫婦や家族、気兼ねない仲間とプライベートな時間を堪能できます。
貸切風呂の木札が入浴の鍵になります

「次はどのお風呂に入ろうか?」と、空いているお風呂の木札を探しながら歩くのは、大人でも童心に帰る楽しさがあります。
この大露天風呂も貸切です

川のせせらぎを間近に感じる風呂から、ダイナミックな岩風呂まで、1泊ではとても全種類を回りきれません。「また次も来たい」と思わせてくれる、リピーターが多いのも納得のスポットです。
川のせせらぎが聞こえる露天風呂

とにかく温泉三昧したい、誰にも邪魔されずにお湯を比べたいという方には、これ以上ない選択肢ですよ。
湯の小屋温泉・龍洞の詳しい様子はこちらの記事が参考になります >> 群馬の秘境・龍洞で18種類の貸切風呂を堪能!
地元民だから教える、穴場温泉を楽しむための3つの心得
穴場や秘湯は素晴らしい場所ですが、最新のシティホテルとは勝手が違うこともあります。快適に過ごすためのアドバイスです。
1. アメニティは事前に確認を
最近は充実していますが、秘湯の宿では「歯ブラシやパジャマは持参」が基本の場所も稀にあります。事前に公式サイトをチェックしておくとスマートです。
2. 「共用」と「歴史」を尊重する
古い建物の場合、バス・トイレが共用だったり、部屋の鍵が簡易的だったりすることもあります。それも「不便さを楽しむ」余裕を持って訪れたいですね。貴重品管理はフロントへ。
3. デジタルデトックスのチャンス
特に霧積温泉などは電波が届きません。最初は不安かもしれませんが、思い切ってスマホを置き、お湯の音や鳥のさえずりに耳を傾けてみてください。心が驚くほど軽くなります。
まとめ:自分だけの『お気に入り』を見つける旅に出よう
今回ご紹介したのは、私が実際に行って「ここは本当に静かで良いな」と心から感じた場所ばかりです。
定年後、これからの人生をどう楽しんでいくか。私は「予定に縛られすぎないこと」を大切にしたいと思っています。
「あ、明日は天気が良さそうだから、あの秘湯に行ってみようかな」と、自由気ままに車を走らせる。道中でカモシカに出会えたり、極上の湯に包まれたり……そんな予定外の喜びが、心と体の最高のメンテナンスになります。
皆さんも、有名な観光地を一通り楽しんだ後は、ぜひ群馬の深い懐に眠る「穴場温泉」を探してみてください。きっと、あなただけの特別な場所が見つかるはずです。


